形の無い世界・22

形の無い世界22

透明「そろそろ気づいても良いんじゃない

伊能「何を

透明「君は、確かに天才だよ誰にも師事されずに

   これだけの術式を組み上げることができる

   んだもの

   でも、君は術というモノしか目に映って

   いないんじゃないのかな

伊能「ふん一体、何を言っているんですか

透明「例えば、今君は、私達の前から逃げ出す

   準備をしているとか

伊能「

伊能の腰が少し浮いている・・・。

透明「流石に、気当たり程度で動きは封じられないからね

   そろそろ、自由に動けるでしょ

   でもね

伊能「

伊能の周りに、結界が施されている

伊能「い、いつの間に

透明「う~ん・・・さっき、昴が話しかけていた時かな

伊能「ま、また、貴方ですか

 昴「悪いな

伊能「くっ

透明「まあ、そう急がなくてもいいじゃない

   こんなに話すの初めてなんだからさ

伊能「・・・・・・。」

透明「つまりは、君は術に溺れて大切なことを学んでいない

   ということだよ

伊能「大切なこと

透明「そう観似手使いも同じだけど、自分の力に酔って

   大切なモノを見失ってしまう

   だから、今の君は、君が嫌いな観似手使いと

   たいして変わらないっていうことだよ

伊能「ち、違うわ、私は

透明「それじゃ~、何で今まで私に先手を取られている

   のだと思う

伊能「そ、それは、貴方の能力が

透明「ごめんねさっき、昴が言っていたけど、私は

   今まで一度も自分の観似手を君に使っていない

   使っているのは、君と同じ程度の能力だよ

伊能「なっ

透明「それでも、君は私の先手を取れない

   どうしてだと思う

伊能「そ、それは・・・・・

しばらくの沈黙・・・・。

千鶴「わ、わかった私、わかっちゃったかも

伊能「

 円「それじゃ~、千鶴答えてあげなさい

千鶴「は~い

   たぶん~っ伊能さんはぁ~

伊能「イラッ

千鶴「術以外、何も知らないんだと思いま~す

伊能「ふざけるな小娘の分際で

千鶴「きゃっ

伊能「わ、私が、術以外を知らないだと

   ぬくぬくと温室で育った小娘に、何が分かるというのだ

まあ、それは確かに・・・

っていうか、千鶴ちゃん天然なのか煽っているのか

分からない子だなぁ~

透明「さてと、そろそろ答え合わせかな

伊能「

透明「千鶴ちゃんが言ったことは、飛躍しすぎだけど、

   良いところを突いていると思うよ

   伊能ちゃんは、人を知らなすぎるんだよ

伊能「人

透明「そう君は周りの人間をどこか下に見ている

   確かに優秀な君のことだから、人の言葉を

   軽いモノと捉えてしまうのかもしれないよね

   でもね

   人は色々な考えをもって行動し、無限の選択肢の

   中で生きているんだよ

伊能「無限の選択肢

透明「うん私は、人が好きだからね

   だから、興味を持った人のことを知ろうとする

   もちろん、伊能ちゃんのこともそうだよ

   だから、その人が次に何を望み何を欲し

   どんな行動に出るのか何となく分かってしまうんだ

伊能「・・・・。」

透明「君は、人と触れ合ってきた中でも、人の悪い部分や

   裏を取って生きてきてしまったんだよね

   だから、人そのものに興味がなかった・・・。

   その為か、人の行動やその人の理念をうかがい知る

   ことはしてこなかったのかもしれない

伊能「そ、そんなもの何の役に立つと言うのです

透明「少なくとも、谷津根 實香に勝つ為には必要な

   ことなんじゃないのかな

伊能「

透明「人を知り、己を知れば百戦して殆うからずって

   昔から言うでしょ

   人を知るというのは、洞察し理解し体感し

   予想し確信することで得られるもの

   特に、谷津根ちゃんは、人の精神世界を体感できる

   能力を持っている

   そんな相手に、人を知らない君が勝つことは

   不可能だと思う

伊能「そんなことやってみなければ

透明「確かにやってみなければ分からない

伊能「

透明「でもねそれでも、私は君にこれ以上、惨めな思いを

   して欲しくないんだよ

伊能「

透明「父の無念・・・自分の無念・・・憎しみも怒りも

   怨みも悲しみも、もし全てを相手の力にねじ伏せられた時、

   君は、正気でいられないと思う・・・

   君は、谷津根 實香や協会の人間を怨み憎んでいる

   ・・・でも、その想いが今日まで君を生かして

   くれたのも事実なんだ

伊能「

 昴「・・・・・。」

 陣「・・・・・。」

 円「・・・・・。」

千鶴「・・・・・。」

透明「もし、その想いが報われなかったら・・・

   そう想うと、私は君をこのまま谷津根 實香と

   対峙させることはできないと想ってしまう・・・。」

伊能「私が・・・勝てない・・・。」

辛い現実・・・次に伊能がとる行動は・・・

            続く・・・。

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コメント

  1. マッキー より:

    おはようございます{キラリ}
    なんだか自分以外は誰も信用出来ないと思って、がむしゃらに頑張っていた頃の自分を思い出して泣けてきました{グズン}
    いろんなことがあって、自分の人生ってなんだかな…と思って、悩んでいた時にいろんな人に出会ったことで、今まで気付かなかったことが見えてきました。人生の半分位来ちゃったけど、気付けたことに本当に感謝{ハート}{キラピンク}
    伊能ちゃんも、透明先生に出会うことが出来て良かったなと思います。
    次回どうなるかわからないけど、残りの人生を幸せに過ごしてほしいな~{ハッピー}{ラブラブ}{キラピンク}

  2. wanco より:

    透明先生、こんにちは(^O^)
    ・・・能力をお持ちの方の、複雑な感情やさまざまな事情は、一般人の私には到底、理解不能ですが。。。能力があるがゆえに、親族間でののしり合ったり憎み合ったりしてしまう事は、悲しい事だなと思ってしまいます。
    一般の方でも、何らかの事情で絶えずいがみ合ったり、絶縁状態だったりする方もいらっしゃいますが・・・
    私の実家でも、父方の親戚とはずっと折り合いが悪く、小さい頃は子供ながらにも、ひしひしと伝わってくる、大人の意地の張り合い的な殺伐とした空気にさみしさを感じました。。。
    本来の親子関係に戻る事は、不可能かもしれませんが・・・今回の透明先生とのやり取りを通して、伊能さんと八津根ちゃんの関係が少しでも良好なものになりますよう。。。心よりお祈りしています(^^)

  3. より:

    実力者であり責任感が強いながらも、谷津根さんはどうにも言葉が苦手な様子が伝わってきます
    今のままじゃどちらが勝っても互いにいいことはないだろな{汗}
    どちらが勝つということよりも、まずは涼栄ちゃんの精神的な成長が必要だし、加えて谷津根さん側も、旦那さんと涼栄ちゃんに対する想いをきちんと伝えることが必要なんだとおもう
    片や天才と片や業界NO1の人間に物言える人もなかなかいないだろうけれど、間の溝を埋められるのはやはり透明先生しかいないなーとおもってしまいます
    涼栄ちゃんの次なる行動・・・
    ・・・もしかして、先生に師事を請うのでしょうか{なんで}

  4. サキ より:

    勝てないのなら…死を選ぶかもしれないです。大切な人を死に追いやられて、その相手を倒すためだけに気を張って生きてきて、ほんとうは憎んでいない人まで憎む対象として業を積んできて…それでも、互角どころか勝ち目がないほど遠い力の差がわかってしまったなら、死を覚悟して、刺し違えてでも相手を傷つけたいと思う。私が伊能さんなら、ですけどね。
    だけど、敗者は勝者に従う、と言っていたから八津根さんに従うという選択もあるのかなぁ。だったら解決するほうへ向かう気もしました(*^◯^*)
    それから千鶴ちゃん、素敵です笑

  5. サキ より:

    すみません~、
    谷、ですね(^^;; ごめんなさい

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