見えざる心・12

見えざる心12

もう少し、彼の心の声が聞きたい・・・。

泰之「ダメなんだよ・・・

   考えたくなくても、考えちゃうんだよ

   こんなに頑張っているのに、どうして

   何をやっても上手くいかないんだよ

   どんなに苦しくても、誰にもわかって

   もらえない気持ちなんか、あんたには

   わからないだろ

   わかってるんだよこのままじゃいけない

   ことぐらい・・・。

   でも、身体がゆうことをきいてくれない

   気持ちが前に向いてくれない

   恐いんだよもうこれ以上傷ついて

   もっと症状が非道くなってゆくことが

   痛いんだよ苦しいんだよ

   この苦しみは誰にも理解出来ない

   あんたに理解出来るのかよ

彼の言葉が重くのし掛かる・・・。

それでも、彼の精一杯の叫びが聞けた

ことが、私は嬉しかった・・・。

透明「わかるよ 君の苦しみも、痛みも

泰之「・・・・はぁ~

透明「

泰之「やっぱりあんたも、他の人と

   同じなんだね・・・。

   そんなの言葉だけじゃないか

   どこがどうわかるっていうんだよ

透明「それなら、なんでさっきから

   お母さんにも言えなかったことを

   私に言ってるの

泰之「

透明「泰之くんは、わかってるんじゃないの

   私なら、わかってくれるって

泰之「えっ

透明「私には、君の声がわかって欲しいから

   わかって貰おうとしているように

   聞こえてくるんだ

   君は、肌で感じてるんだろ

   私ならわかってくれるって

泰之「そ、そんなこと・・・。」

透明「大丈夫だよ私には、本当に

   君の痛みも苦しみも理解出来るから

泰之「・・・そんなの・・・

   ・・・偽善だよ・・・。」

やっぱりそう見えちゃうよね・・・

透明「今の君は、頭にモヤがかかったような

   状態だよね

   それに、常に頭が重く強い気怠さ

   付きまとっている

泰之「

透明「少し気分が良い日には、何かしなくちゃ

   外に出なくちゃって想うけど、

   急激にその感覚が戻ってきてしまい、

   尚かつ胸が急に苦しくなったり

   頭が痛くなったり

   吐き気が出てきたりもする・・・。

   それでも、それに抗おうとすると

   もっとその感覚が強くなる

   このままじゃ無理だと判断した君は、

   想うようにいかない心と身体を疎み

   自分自身を蔑んでしまう・・・。

   でも、常に君自身はこのままじゃいけないと

   葛藤している

   そのことで、心が苦しく、常に不安に苛まれ

   実際に、呼吸が出来なくなったり

   心臓が握られているような痛みに

   襲われることがあるはずだよね

   その痛みは、本当に体感しているモノなのに

   病院に行っても身体の異常は見られない

   うつ病は、目に見えないからこそ

   周りの人が理解しにくいものなんだと

   いうことを、君自身も理解しているよね

   わかってもらえないなら話さない方がいい

   話してもわかってもらえない時には、

   もっと自分が傷つき、苦しくなることを

   君なりに理解しているんじゃないのかな

泰之「

うつ病を患うということは、自分自身では

本当にどうしようもない痛みや苦しみを

伴うことになる

それは、誰にもわかってもらえない

孤独との闘いでもある・・・。

私は、泰之くんの心を救うべく

優しく言葉を連ねてゆく

 
              続く・・・。

   

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コメント

  1. カッツェ より:

    泰之君、本当に辛かったんですね。
    鬱病って本当に辛い病気ですね。
    私も睡眠障害があったのでインターネットで自己診断を何種類かしてみたのですが、病院に行った方が良いという結果になりました。
    軽く見ないで、ちゃんと専門家に相談しないとですね。
    甘くみてはいけないと心底思いました。
    先生、いつもためになるお話、ありがとうございます{ねこ}

  2. サエコ より:

    う~ん、私もそうでした。
    うつに至る状況の時は、状況自体が「死に至る病」って感じでした。
    自分が惨めでみっともなくて、泥の中を這いずり回っているような状態だなと思っていました。
    けど、自分はおめでたいなあと思うのですが、そのときに「如在蓮華水」という言葉が頭にずっとあって。
    蓮華は泥の中で華を咲かすのなら、私もいつか美しい華を咲かせることが出来るに違いないと。
    そん時に、息子の自閉症を「育て方が悪いから」と言ったうちの母親が、「あんたはほんとにすごい。出来ないことをやってのけてきた」ちらっと言いまして。
    まあ、それは母親の葛藤の原因にもなっているので、単純に喜べる言葉でもないんですが。
    あ、だからセンセの紹介の蓮の花が内側から光ってる画像に惹かれたんですよ。
    私は基本にADHDがあるので、うつもすっきりと治るって事はないです。
    ちょっときっかけがあれば睡眠障害が出ますし。
    けど、改善のきっかけのひとつは「うつと共存していこう」って思ったことでした。
    それまでは、自分の中から忌むべきものや欠点をなくしてしまおうとしてたんだけども、うつである自分も自分の一部分だし、誰も認めてくれなくても病むほどがんばった自分を、自分だけでも認めてあげないと、
    あまりに自分がかわいそう過ぎる、と思いまして。
    もし、これが自分以外の人だったら、私はこんなにキツく責めるだろうか、自分だからといって自分の思うままに酷く扱っていいわけじゃない、って思いました。
    ウチの自閉症の息子は私を「突然変異」と褒めてくれますので、まあ、がんばってる価値もあるかなと思います(笑)

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