夏の日の想い出・11
しばらくして、呼吸の整った
竹林さんが近づいてくる・・・。
竹林さんは、私達の奇行を見て
訝しげな顔をしていた
竹林「あ、あの透明さん
一体、何をして・・・」
透明「え、え~っと・・・」
竹林「淳和何してるの」
淳和「うう~っきゃは」
淳和くんは、やっときた母親と手をつなぎ
淳和くんにしかみえないお父さんの元へ
淳和くんは、お母さんとお父さんの真ん中に立ち
満面の笑みを浮かべていた
竹林「」
淳和「ああ~」
竹林「淳和何をしているの」
淳和「あっあっうう~っ」
淳和くんは、父親がいるであろう位置を
必死に指さしながら母親に伝えようとしている
竹林「・・・淳和お母さんよく分からない
淳和が指さすところには何もないでしょ」
透明「や、やばい竹林さ」
淳和「パッ・・・パッ・・・。」
竹林「 淳和お父さんは・・・もう・・・いないの
淳和・・・どうして・・・もう止めて・・・」
淳和「ううパッ・・パッ・・・グスッ・・・
ええ~~~~んええ~~~~ん」
透明「くっ」
竹林「淳和お願いだから・・・もう
お父さんはいないのよ」
淳和「ええ~~~~んええ~~~~ん」
私は、急いで淳和くんの元へ
まだ、一生懸命に指をさしている淳和くんを
抱っこする
竹林「透明さん淳和の虚言にのったりしないで
そんなの・・・そんなの悪ふざけです」
透明「竹林さん一度落ち着いて
ちゃんと、説明しますから」
淳和くんを抱えた私は、竹林さんを連れ、野原から
離れたところまで移動する・・・。
そこで、今までにあったことを竹林さんに説明し
理解を求めた・・・。
しばらくして、泣き疲れて眠ったしまった淳和くんを
敷物の上に寝かせた私は、自分の仕事のことや
今、淳和くんに起こっている現象についてあらためて
竹林さんにお話する
竹林「・・・・・。」
透明「一概には信用できないかもしれませんが
それでも今は、私を信じてくれませんか」
竹林「・・・大丈夫です透明さんのことは
信用しています・・・ただ・・・。」
透明「ただ」
竹林「ただ、私は母親として、この子のこと
ちゃんと理解できていなかったことが
ショックで・・・・」
透明「・・・・・。」
竹林「透明さん私は、淳和にどう接してゆけば
いいのでしょうか」
透明「ゆっくりでいいんだと思いますよ」
竹林「えっ」
透明「淳和くんも竹林さんも、旦那様を想う気持ちは
変わりませんから・・・
竹林さんは、淳和くんを守るためにも、早く
旦那様の死を受け入れて、過去にしてしまおうと
している・・・でも、人間てそんなに簡単に
想いを過去に追いやることなんてできないもの
だと想います
だから、淳和くん同様、竹林さんもゆっくりで
いいんですよ
ゆっくり受け入れ、淳和くんと共に気持ちを
整理して、二人で一歩ずつ前に進んで
ゆければいいのだと想います」
竹林「ううっ・・・ううううっ・・・・。」
竹林さんは、淳和くんを守るために自分の気持ちを
殺して無理をしていたのだろう・・・
竹林さんの心の堰はゆっくりと崩れ、沢山の涙と共に
解き放たれて行く
さあ、次は淳和くんを助ける番だ
続く・・・。
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コメント
(;_;)
私は父を痴呆介護の末、入退院繰り返しで亡くしたので、ある程度覚悟は出来ていた死ですが…
やはり、今でもふと思い出すと、悲しく辛くなります。
ましてや、突然の家族や友人、愛する人を失う心の穴は、私のそれとは比べものにならないでしょう
感受性強い子供なら、大人以上に…
じゅんな君が、震災でのまだ傷癒えない方々の象徴のようで、切ない…
…私も、大切な身内を突然亡くした経験があります。
受け入れるまでには、とても時間がかかりました。
竹林さん…ゆっくり、ゆっくり、進んで下さいね。