原点へ・・・。・２３
しばらく、根掘り葉掘り聞いてくる
芦さんを躱していると・・・。
芦「おお
話が長くなってしまったな
さてと・・・。」
やっと、お帰りか
芦「雪さん
あんた、利き手はどっちだ
」
雪乃「はぁ
多分、左だと・・・。」
芦「そうか
だったら、困らねぇ～な」
雪乃「なに」
芦「いや、その右手、そろそろ落とさねぇ～と、
命に関わるぜ」
雪乃「
」
芦「指先から、腐ってきてやがる
このままだと、身体の方まで腐っちまうだろ
先に、手首よりちょいと上で落とさねぇ～と」
雪乃「・・・そう・・・痛みが強いわけね・・・。」
芦「ナタか何かあるかい」
雪乃「・・・右の棚の中にあると思う・・・。」
芦「どうせ、もう動かねぇんだろ」
雪乃「うん・・・
」
芦「大根の礼だ儂が落として治療してやるよ
右腕とは今生の別れとなるが、いいか」
雪乃「うん・・・悪いわね・・・お願いします」
芦「何か、口に入れて噛んでおいた方が良いぞ」
雪乃「大丈夫さっさとやって」
芦「わかった」
それから、芦さんは、湯を沸かし、ナタを綺麗に
しているようだった
芦「それじゃぁ～、いくぞ
」
雪乃「うん・・・。」
台の上に腕がのせられ、大きな音が木霊する
「ドンッ」
鈍い痛みが全身に広がってゆく
雪乃「・・・・。」
芦「今、止血してやるからな」
芦という男は、手際よく処置をしてくれている
私は、全身に広がる痛みを感じながら、今まで
役に立ってくれていた右腕に感謝し別れをつげていた
芦「よしこれで大丈夫だろう・・・。
しかし・・・本当にうめき声ひとつ上げんとは
真似できねぇ～なぁ～
」
雪乃「・・・・。」
ここからは、自分との勝負・・・。
病と痛み・・・そこから出る高熱と戦いながらも
意識を保とうと必死に堪える・・・。
数日後
雪乃「ううっ」
芦「おっ気がついたかい」
雪乃「・・・芦・・・さん」
芦「もう大丈夫だろうよ
少し、喰えるか
」
雪乃「う・・ん」
どうやら、芦さんは、私の身体が安定するまで
看病をしてくれていたみたいだ・・・。
雪乃「・・・芦さん・・・ありがとう・・・」
芦「恨んでもいいんだぞ
あんたの大切な腕を切り落とした野郎だからな」
雪乃「腕は失ったけど、命は拾えた・・・ありがとう」
芦「はははっ
あんたは本当に利口なやつだ
尊敬するよ」
雪乃「あれっ病も治ってる・・・。」
芦「ああ乗り越えたみたいだな
そう言えば、さっき寺の薬師がきて、お前さんの
血を取っていったぞ
しかし、容赦ねぇ～なぁ～
腕を失って、血が足りねぇ～っていうのに・・・」
雪乃「それが・・・仕事だから・・・。」
芦「そんなもんかねぇ～
」
私は、芦さんが作ってくれた重湯を飲み、
一息ついた
それから、２日が経ち・・・。
腕の痛みは未だあるが、失った不便さの方が気になる
芦さんは、明日にはここを経ち、自分の修行に戻ると
言っていた・・・何だかんだで、沢山お世話になって
しまった・・・。
その夜
雪乃「芦さん・・・本当にありがとうございました」
芦「いやいや
儂も救ってもらったからなぁ～
おあいこじゃ」
雪乃「クスッ
」
芦「しかし、儂も後から考えたんじゃが」
雪乃「」
芦「あの時、あのままの方が、雪さんにとっては
楽だったんじゃないかって、思ってな
まあ、切っちまってから言うのもなんだが・・・。」
雪乃「ううんおかげで命がつながったから・・・。
少しでも、人を救えることの方が、私には
大事だから・・・。」
芦「そうか・・・そのこと何だが・・・。」
雪乃「」
芦「儂は陰陽師と言っただろう
お前さんの腕を切り落としてから、お前さんが
生き残ることができるか
運命を少し算命させてもらったんじゃよ・・・。」
雪乃「そっか・・・・で、どうだった」
芦「うむっ・・・まあ、儂の拙い読みじゃから、
信じんでも良いのじゃが、儂の読みでは、
後１年半というところか・・・。」
雪乃「・・・一年半か・・・わかったありがとう
芦さんのおかげで、希望が持てたよ
」
芦「え～っおいおい
」
雪乃「だって、後１年半も身体がもってくれるんでしょ
だったら、沢山の病や呪と闘える
もともと、明日をもしれない命だもの
１年半の猶予をもらったのは、本当に嬉しいよ」
芦「はははははっ
さすが雪さんじゃなぁ～」
そして、次の日・・・。
芦さんとの別れが訪れる
続く・・・。
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コメント
ゆきのちゃん、
一年半なんてダメです・・・
胸が締め付けられます
・゜・(ノД`)・゜・。
人救いの為とはいえちょっと残酷過ぎるのでは。まさかとは思うけどその血で寺が利益を得てるとかじゃないでしょうね？真実の愛が自己犠牲を伴うのは当たり前という事は重々承知してますけれど。人を殺してみたかった等快楽殺人や迷惑行為注意や些細な交通トラブルでキレまくったり、親子や夫婦など近しい者達でも殺し合うのが珍しくない現代日本とは隔世の感がありますね。自己の肉体を犠牲にしてとかではなく正しい神仏に帰依して「まっとうな生き方」をするように教え導く事が人間として出来る最大の利他愛だと私は思います。
た、多分、先生が雪乃さんの生き様をこうしてなぞっていくのは、
残酷な出来事が続く雪乃さんを、憐憫の情だけで悲しむだけじゃなく、
どうしようもない人間ってのを、何故、先生がこれだけ知りたがり、苦しむ人をどうにかしたいのか、根源なる発露を示していらっしゃるのかと思います。
人間の行いで、ショボいレベルでも、理屈も理性もへったくれもない、第三者からしたらなんでやねん、しょーもな、ってことは多かれ少なかれ経験していて、でも、呵責の念を抱えるくらいなら、それを覚えているより忘れさる。そんな繰り返しな気もする。
だけど、どこかで、軌道修正する出逢い、言葉、経験があって、段々、魂がきれいに磨いていくために、生きていく。
これが修行の一環とすれば、
あくまでこのシリーズは、雪乃さん視点しか描かれていませんが、私は、雪乃さんの生き様に感化された方がいたと信じています。
雪乃さんが登場する必要があった、そういう時代だったと･･･
それでもまだ、雪乃さんに感情移入すると切ない
。゜(゜´Д｀゜)゜。
雪乃さんの時代は、まだ世の中の技術も知識も成熟していない剥き出しの部分が、現代に生きる私たちには刺激強いけど、
もしかしたら生命力や精神力のタフさは、現代よりよっぽど上かも💦
芦さんも、余命を告げることは辛いけど、雪乃さんに必要な出逢いだったと。
そう思わないと、世の中の不条理に心負けたくないっす
透明先生 皆さま こんにちは{さくら}
雪乃ちゃんの人を救う命懸けの思いに圧倒されます。
誰かの役に立てて喜んでもらえることが雪乃ちゃんの幸せなのですね{キラピンク}
お話しを読んでいる者にとっては
とっても切なくてやるせない気持ちです{グズン}
芦さん何か目的があって訪ねてきたと思ってたのですが違うのかぁ
一度会ってみたかっただけなのかな
あくまで雪乃さんのお話しなのですが、なんだか透明先生が遠くに行ってしまいそうで怖くなりました(;-;)
毎回の転生で、一個人としての幸福を追求する重要さと、根源につながる感覚というのか、ワンネスというのか、それを実感して、我彼の区別のない境地に至る必要性との間で板挟みになる気がするのは、要するに人間としての成熟度が足りないという事なのでしょうか。子供の頃は、大人になればその辺の折り合いって自然について来るものかと思ってましたが、長く生きる程、却って往生際が悪くなるみたいです。
自分が雪乃ちゃんの心境に至れるかと言われても無理そうですが、雪乃ちゃんが娘だったら、妹だったら、大事な友人だったら、密かに想う相手だったら…一人でも多くの人を救うより、自分の手の届く場所で幸せであって欲しいと思ってしまうだろうなと思っちゃいます。たとえ、それが彼女にとって本当に幸せで、自分が選んで決めてきた生き方だと分かっていたとしても。
おはようございます☺️
芦さんいい人だ➰✨透明先生の両利き算命学はここから?１年半私に時間があるとするならば子どもを生みたいかな…。自己満足になりますけど生む、抱きしめるをやりたい❗(相手を探しなさい😅)
年齢的にも難しくなってくるお年頃なので後１年半というキーワードを意識して活動したら勢いが増すのか？
陣さんのような人懐っこさもあり、お師匠様のような温かい豪快さもあり、、でも陰陽道は他の方がいうように円さんかぁ、、でもなんか話し方が男だからなのかそんな気がしないっていう単純な私。笑
生まれ変わっても同志はまた出会うのか、、
そのサインてなんだろう？？というか不思議だなぁ、ほんと💡 成し遂げる、成す、成仏、仏に成ることの意味ってなんだろう。何のために限りを作って産まれてくるんでしょうねぇ、、、なんてね、ふと思っちゃいました。
透明先生 みなさま こんにちは♪
何度もコメントを書こうとして出来ませんでした。
…やはり想いが乱れてしまいます。{ごめんなさい}
ワタシにとっては９話以降の方が辛く感じます。。
雪乃さんは、そもそも自分という存在をどのように
感じていたのでしょうか…？捨てられた自分の命が
助けられたことをどのように感じ、受け止めて成長
したのだろう。。元々捨てられていた命、それを
慈しみ愛し、育ててくれた人がいる。その人たちの
為に自らを捧げることが当然のこと…と考えて
いたのでしょうか…？想像を絶する生き方です。
自分の身体を切り落とされても、死期を知らされても、
それをどこか他人事のように冷静に受け止めている。
自分という存在を、あまりにも達観している。。。
そのことが、ワタシにはとても切なく辛く感じて
しまいます。ムーミンママさんが仰るように、
雪乃さんがワタシの大切な人だったなら本人の希望とは
違っていても、やはり自分の手の届く場所で幸せで
あって欲しいと願ってしまいます。
先生の過去のブログ記事にも、たびたびご自身の
お命が危険に晒される場面が出てますが、そのたびに
どこか醒めている…というのか、先生の冷静な態度に
背筋がヒヤリとすることがあります。先生にとって
死ぬことはそれほど恐怖ではないのかもしれませんが、
ワタシにしてみたら大切な先生の死は、耐え難い苦痛に
違いありません。エゴかもしれませんが、先生には
幸せで長生きして頂きたいです{YES}。。
それにしても…先生は「人間が生きる」ということに
関する探求心の塊のようなお方だなぁとつくづく思います。
和樹さんが仰っている「何故、先生がこれだけ知りたがり、
苦しむ人をどうにかしたいのか」という想いの発露を、この
ブログ記事を通して少しでも理解出来たら…と思います。
度々すいません💦
よく考えてみると、個人で生まれた時点で、もう誰かと繋がりが出来ているのですよね。霊界から親を通り生まれてきている。。雪乃さんは一人で全ての人を救い助けたかったようですが、例えば木で例えるなら、人と関わって助けていくのと、自らの力一つで助けていくのとでは、体や精神的の負担、本来ならば段階を追って出会わなくてはいけない課題のようなものまですっとばして生きているような気がします。根っこから、幹を飛ばして、枝や葉の先端までいくような。。。
ほかの誰か占い師さんのブログで書いてありましたけど、(最近よく見るようになりました。😊)喜怒哀楽、順番にあると良いですね。
好きな洋画や、音楽、趣味に徹夜しても土日ならok的な現代を見たら、さぞかし驚き、ステキな生き方を選べるようになった時代だね、良かったと皆さんの倖せを願っていてくれているでしょうね。
透明先生のブログでは、特に 少しずつ登場人物の良さを研究されていること、日々 感じています。💕