艶やかなる欲求・１１

艶やかなる欲求・１１

透明「成実さん」

成実「はい」

透明「もう一度聞きたいんだけど

　　　旦那様の浮気、本当に許せる」

成実「う～ん・・・許せると思う」

透明「それって、自分のせいにしてる

　　　からじゃない」

成実「」

透明「やっぱり

　　　成実さんは、自分に自信が

　　　無くなってきてるんだね」

成実「・・・そうなのかも」

透明「自分が昔みたいに輝いてない

　　　周りが自分を見ていない

　　　容姿的にも変わってしまい

　　　それを維持し続けなければ

　　　いけない自分に

　　　いつか崩れてしまうんじゃないか

　　　という恐怖に

　　　焦りを感じているんじゃないかな」

成実「・・・あははっ・・・先生は

　　　何でもお見通しだね」

透明「だから、旦那様は違う女性に興味を

　　　もってしまった

　　　それは、全て自分が魅力的じゃ

　　　無くなってしまったから

　　　そう想っている・・・。」

成実「・・・はぁ～

　　　今先生に言われて、ハッキリわかったわ

　　　最近、何を焦ってるのか

　　　自分でもよくわかっていなかったんだ

　　　先生の言う通りだと想う・・・。」

透明「なるほどね・・・これで、旦那様の

　　　行動もハッキリした」

成実「」

透明「成実さん今から私が物語をお話します

　　　ちゃんと聞いて、成実さんの心で

　　　感じてくださいね」

成実「は、はい・・・」

私は、ある物語を語り出す・・・。

透明「ここに、ある男性がいます

　　　その男性は、幼い頃から努力し

　　　あるチャンスをモノにしました

　　　そのおかげで、彼は一代で多くの

　　　富を得ることが出来た・・・。

　　　しかし、その富を得ると同時に

　　　周りの環境も一変する

　　　今まで見向きもしなかった人達が

　　　彼の資産を目当てに集まってくる

　　　ようになったのです

　　　彼は途端に虚しさと寂しさで

　　　一杯になってしまいました・・・

　　　しかしそんな中、彼は１人の女性と

　　　出会います

　　　その女性は、彼が沢山のお金があることも

　　　大きな会社の社長であることも知らず、

　　　ただ、彼自身を受け入れてくれる

　　　唯一の存在でした

　　　彼は、彼女のそんな優しさと屈託のない

　　　笑顔に心を奪われ、彼女を愛し愛され

　　　結婚することができました

　　　彼は幸せ一杯です

　　　しかし、ある時気づきます・・・

　　　彼女は本当は自分にあまり自信が

　　　もてない人なんだと・・・。

　　　彼は考えます彼女の自信をつけて

　　　あげられる方法

　　　彼女がもっと笑ってくれる方法

　　　そうだ彼女をもっと綺麗にして

　　　あげれば、もっと自信がもてるように

　　　なるんじゃないのか

　　　彼は、彼女に自分の魅力をもっと

　　　知ってもらうために色々な方法を

　　　試させました

　　　彼女もそのつど、喜んでくれる

　　　彼をみて嬉しくなり、彼の望むことを

　　　受け入れてきました

　　　しかし、その方法は次第に彼女の自信を

　　　無くさせてしまう結果に・・・。

　　　彼が想った望みは、逆へ逆へと流れ

　　　彼女は、少しずつ彼に笑顔をみせなくなり

　　　自信のない彼女は、彼に嫌われまいと

　　　心を閉ざし彼を避けるようになって

　　　しまったのです

　　　彼は唯一、自分自身を受け入れてくれた

　　　彼女の気持ちを失いはじめてしまいました

　　　彼は、心を開いてくれなくなった彼女が

　　　自分を嫌いになってしまったのではないか

　　　どうすれば元の彼女に戻ってくれるのか

　　　悩みました・・・。

　　　彼自身も、彼女と顔を合わせることが

　　　恐くなっていました

　　　彼は、またひとりぼっちになってしまった

　　　ような寂しさに襲われます

　　　その時から、彼は外へ出るようになり

　　　その寂しさを埋めてくれるものを

　　　探すようになってしまったのです・・・。

　　　しかし、そこにも自分を本当の意味で

　　　受け入れてくれる場所はなく、彼は

　　　今でも彼女の心が戻ってくることを

　　　望みながら、毎日を虚しく過ごしています」

成実「・・・可哀相・・・まるで私達みたい・・・」

透明「いやいやいやいやそうじゃなくて」

成実「えっ」

ここで天然出ますか～

透明「この話は、成実さんと旦那様の話ですよ」

成実「えっ　そうなの」

透明「はぁ～・・・凄いところで天然ぶりを

　　　発揮されたから、大こけするところ

　　　でしたよ～」

成実「・・・これって、本当に」

透明「はい間違いありません

　　　正直、表面状では理解出来なかった

　　　ことも多かったんですが、

　　　成実さんの心理と旦那様の心理を

　　　紐解いたらハッキリと理解できましたよ

　　　今の物語は間違いなく今のお二人の

　　　気持ちですよ」

成実「そうなんだ・・・。」

透明「まあ、簡単に言えばお互い大切だと

　　　想っている気持ちが、変なところで

　　　すれ違いを起こしてるみたいです」

成実「・・・ぐすっ・・・ぐすっ・・・。」

透明「よかったですね」

成実「うん・・・う・ん・・・。」

成実さんの心に複雑に絡まった糸は

しっかりとほどけたみたいだな

後は、彼女の行動次第

最後まで面倒みましょうか

　　　　　　　　続く・・・。

　　　

　　　

　　　

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